IMD MBAでの「日本」や「日本人」の位置付け


最後までTakeoです、今回のポストでClass of 2013からは本当に最後になります。

1月に書き込みを始めた際、「本家の英語ブログでは伝えられない 視点を」をということで始めましたので、その意味で「結局、日本人がIMD MBAに来ると何ができるのか、どういうポジショニングになるのか、何を期待さ れるのか」について、個人的に感じたところをまとめたいと思います。

 

  • ケースや授業での「日本」
    比較的新しいケースで日本企業が出てくることは皆無と言っていいでしょう。昔は驀進する日本企業の謎についてこぞってケースが書かれていた(と想像 します)が、今21世紀において成長している企業の課題について学ぶとなると、おのずと日本企業は殆どケースの対象から外れてしまい、代わりに健 闘している欧米企業や、新興の中国、ブラジル企業の話題がどうしても中心になってきます。更には、

 

  • もともと日本企業にビジネススクールの教授と知り合いである人が少なく、ビジネススクール側にとって「ケースを書かせてほしい」とお願いするのが比較 的難しい、
  • 厳しい状況にある企業の様子をケースにすることには、企業側が難色を示す、
    といった状況も想像されます。(確かではありませんが…)
    では授業中のケースで日本企業が取り上げられていないことによって日本人MBA生ができることはないのでしょうか?これが、特にIMDの場合はという ことかも知れませんが、industry focusがある分、十分にあります。メーカー出身の同級生の話を聞いていると、日本の製造現場におけるコンセプトは 、欧米企業に相当に浸透しています。「カンバン」や「改善」がコンセプトとして海外に広まっていることはなんとなく本、雑誌で見かけると思いますが、 意外だったのは他国語ではいかにも発音しづらい「現地現物」、「ポカ除け」まで日本語そのままで知られていることです。また、Electiveで訪れたある ブラジルのメーカーでは、英語を話さない日本人コンサルタントが、たった1つのアイディアで製造工程の時間を5分の1以上短縮するという離れ業を成 し遂げているところも目撃してきました。(因みに、「ラテン的でお気楽なブラジル企業に、日本人が行ったら割とそのぐらいはできるのでは…」というお 話では決してありません)つまり、実際にモノを作る、動かすという部分において、日本企業が秀でている部分はまだまだあり、このエリアの見識を持っ た日本人は、IMDのコミュニティー、授業において重宝される存在になります。
  • グループディスカッションでの「日本人」
    性格上、海外の人は押しが日本人より強いというのは、もちろん全てのケースに当てはまるわけではないものの、一般的に言えることだと思います。そ んな中で、グループディスカッションにおいて日本人が発言力を持ち、周囲から信頼を得る方法としては、海外の人と同じアグレッシブさを持って真っ向 からぶつかる方法以外にもあることを、IMDでは目撃してきました。膨大な量の情報が与えられ、その全部を把握しないまま、キーとなるポイントを掴 んでディスカッションするという中では、何でもいいから喋るという以外にも、当然ながらそもそものポイントを掴んでいるかという点も重要です。日本人の 中でも性格により得手不得手があるところだと思いますが、この「膨大な情報量の中で、ポイントを的確に掴んでいる」という点で日本人は、比較的 活躍できるのでは、というのがこの一年を通しての印象です。
  • カルチャーとしての「日本」
    外国人がスイスと日本を評価する際、時間を守る、社会インフラが整っている、カスタマー・サービスがしっかりしている等、割と共通する部分があるの ですが、日本の場合、これらの根底にあるのは「だって、時間を守らなかったら皆の予定が狂うじゃない」とか、「インフラが整ってなかったら何もできない じゃない」とか、「カスタマー・サービスが悪かったら…というか、カスタマー・サービスが悪いことなんてあり得るの?」といった意識だと思います。この点、日 本の場合は「できて当たり前」の100点からの原点方式で、一方海外の多くの場合は「できたらすごい」の7、80点を及第点とするカルチャーの違いが 表れるところかという気がしています。こういう特徴が日本人にはあることを踏まえて、MBAの場で具体的に何ができるのか。明確に表現しずらいのですが、この特徴を意識しているだけで コミュニケーションに違いが出てくるのではないでしょうか。
    例えば、「自身の傾向として、日本人の中では割とやっつけ仕事をするタイプであっても、他 の国出身者と比べると満額回答を目指してがちがちに固まったアプローチを取りやすい」ですとか、逆に「○○の分野についてはこの人はやり方が大雑 把になり過ぎるから、自分が議論を引っ張らないといかんな」とか、普段日本人に囲まれて仕事をしているときはあまり意識しないようなことについて意 識していると、グループディスカッションで果たす役割が大分違ってくると思います。

それでは、1年間有難うございました!

このブログが、少しでも興味のある方々にIMD MBAプログラムの中身をお伝えし、MBA受験生の方々の inspirationとなることができていれば幸いです。上述の通り、MBAにおいて日本人が活躍できる場はまだまだあると同時に、上記では触れていない部 分で、日本人にとって苦労となる部分、チャレンジ、学びがIMD MBAには存在します。「日本のビジネスマン・ウーマンはこんなことを考えている、こん な人間なんだ」、ということを発信でき、同時に「日本人はここがすっかり抜けている、考えたことがない」とオープンに受け止められる方々を、IMD MBA はお待ちしています!

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